![]() |
|
インフルエンザやかぜに詳しいドクターにインタビューし、 |
昨年は、インフルエンザ流行時に特効薬といわれているタミフルが随分と問題視されました。新聞やテレビでは、タミフルを飲んだ10代のインフルエンザ患者が建物から飛び降りたというような報道がされ、今年の3月に厚生労働省がインフルエンザ患者のうち10代へのタミフル投与を事実上禁止するという通達を出しました。本当のところ、建物から飛び降りる(転落)原因が何なのか、明らかではありません。
3月下旬から4月にかけてインフルエンザに罹患し、タミフルを服用していない10代の子どもが建物から転落した例がいくつか新聞に載っていた事実も見逃してはならないと思います。インフルエンザの症状として、幻覚、幻聴、興奮して暴れるなどの異常行動が認められることは知られていますから、建物からの転落は、異常行動の延長線上にある稀なインフルエンザの症状かもしれません。タミフルの副作用か否かは、今後の調査の結果を待たないと結論はでないのです。それはともかく、因果関係が不明のために10代に対するタミフル使用が禁止された。そうした状況下で、現実的にはタミフルの10代への使用はほとんど無くなるでしょうし、10代以外でも患者やその家族が不安感を持つことは十分考えられます。そこで、私としては10代の中学生、高校生はもちろんのこと、その下の年代の小児にもインフルエンザワクチン接種を推奨したいと思っています。
高齢者のワクチン接種率は欧米に比べると日本は低くなっています。欧米諸国の接種率は高い国で70〜80%くらい、低い国でも60%くらいでしょう。それに比べ、日本の高齢者は直近データで50%くらいです。今年こそは高齢者の接種率をしっかり上げていただきたいと思いますね。
さて、ワクチンの効果と問題点は、年齢によって効き方に差が出ることです。重症化する恐れがあり、インフルエンザ予防が特に必要とされる1歳から5歳くらいまでの乳幼児には接種量が少ないこともあって効果が低くなる。高齢者も免疫反応の低下のために、その発病防止効果は50%以下と低くなります。これがワクチンのジレンマともいえるのですが、学童期や大人には効果が高く、70%〜80%が期待できる。特に活動範囲の広い若い人がワクチン接種をすれば、集団免疫効果が大いに望めるでしょう。つまり、ワクチンの効果が高い若い人たちの接種率が上がれば、高齢者や乳幼児への感染も少なくなると考えられます。またタミフルが使用できない10代は特にワクチン効果の高い年代ですし、異常行動の原因はインフルエンザそのものにあるかもしれませんので、私としてはまずワクチンによる予防をお勧めしたいと思います。
今年は特にワクチン接種をお勧めしますが、それでもインフルエンザにかかったら、健康成人でもQOLを考えて、基本的にはノイラミニダーゼ阻害薬により治療すべきだと思います。ノイラミニダーゼ阻害薬には、タミフル以外に、リレンザという吸入薬もありますので、10代のインフルエンザ患者はリレンザで治療となります。
幼児ではインフルエンザで入院する確率が高いし、最悪の場合は脳症を起こすこともあるので、従来通り、タミフルで積極的に治療すべきと考えています。5歳以上であれば、リレンザも使用できますから、タミフルに不安感が強い場合はそういう選択もあるでしょう。高齢者では、インフルエンザは入院や死亡の原因となるので、タミフル等の治療が必要です。喘息とか肺気腫とかの呼吸器系の慢性疾患がない場合は、リレンザも良いでしょう。インフルエンザでも、吐き気や腹痛を伴っている場合は、吸入薬であるリレンザを使うのが適切です。一方、喘息、肺気腫などがあって気道を刺激してはいけない場合は、タミフルが第一選択となります。一人ひとりの状況に適した抗インフルエンザ薬を選択することが大切ですね。
![]() |
||||||
|






